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名古屋市港区での過去の地震災害のまとめ

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宝永地震・安政地震及び昭和東南海地震の津波被害

宝永地震建物被害分布

安政東南海地震建物被害

昭和東南海地震建物被害

昭和東南海地震の名古屋市港区の液状化(住宅における地震被害について)
(昭和53年の名古屋市防災会議(地震対策専門委員会)でまとめられた資料を基にまとめました。)

 港区は震災での全壊・半壊住居数の最も多い区であり、特に港北運河以南の名古屋港近辺地域において倒壊住居の集中が著しかった。それらの大部分は液状化現象による被害のように思われるが、以下に地区別の被害の特徴を考察した。

① 堀川東側地区:港区においては本星崎町を除いてすべて明治以降の名古屋築港にともなう旧熱田港の埋立地であり、新しい埋立地における液状化の危険性は高く、やはりそれらの被害が大きい。ただしこの地区においては工場敷地が地区面積の大半を占めていたため、住宅としての被害戸数は比較的少なかった。

② 港北運河及び十一屋川以南地区:被害住宅の最も多く発生したところであるが、やや詳しくその分布の状況をみると幾つかの特徴に分けることができる。

a) 港陽町から市道梅ノ本線に沿い中川橋に至る一帯は同一番地から16戸と、全壊住宅が最も数多く集中している地域である。この一帯は名古屋港築港以前の旧熱田湾の海岸であり、市道梅ノ本線は熱田前新田の海岸堤であった。そのため当時の海岸堤の内側にあたる市道梅ノ木線の北側一帯には洪水時に河川の水を一時的に氾濫させるための池沼(潮遊び)が多くあった。このような旧水面を埋め立てた地帯が、激しい液状化現象の被害を受け高い全壊率になったものと考えられる。

b) 港栄町を中心とした中川運河東側地区は、半壊住家の集中が全市的にみても最も著しい地区である。この地域は液状化現象により噴泥、亀裂がおびただしく発生し住居の被害に高い影響をもたらした。倒壊家屋も多く、特に築地口から北、電車通りの西側に面して著しかった。また殆どの全壊住家が南側に倒れたということから震動による倒壊もかなりあったものと考えられる。

c) 中川運河西側地区は、佐野町あたりの亀裂現象のほかに、大手町地内での地盤沈下が報告されているように液状化現象が著しかったこともあるが、全般的には半壊被害が多くそれらは地震動によって柱と梁、柱と鴨居等接合部の破損によるものが多く起こっている。この地域の地盤条件は稲永川の堆積物からなる新しい地層が10~15m以上に及ぶ個所があることから、地盤が弱く地震動被害が大きかったと考えられる。しかし、稲永地区や明治以降に造成された築三町をはじめこの地区には液状化の危険性も多く指摘されていることから液状化現象の警戒もしなければならない。

③荒子川近隣地区

a) 荒子川以東の散在地区では、辰巳町をはじめとする東海通の沿線に被害住居が集まるが、地盤が30~50cm沈下したことが報告されていることから液状化現象が主因であったものと推察される。

b) 荒子川以西の散在地区では河川の堆積物からなる新しい地層が10m以上に及ぶ個所が広いことから地盤が弱く地震動による被害も加わっていると考えられる。なお、惟信町に集中している住宅の被害は、旧堤防の斜面を利用して建てられたものが多い。


まとめ

(1) この調査は昭和19年に作成された「市民税免除者名簿」を参考に住宅における震災被害の分布を割り出し考察された。

(2) 被害住居の分布は地盤条件と密接な関係があり、特に河川流域の堆積物からなる新しい地層が大きい地域において被害住居が多くなっていることを共通現象として認めることができた。

(3) 名古屋地盤図等から判断される「液状化の危険性の大きい」とされる地域では、液状化現象による半壊・傾斜変形と思われる被害が多発していることが明らかとなった。そのような地区では噴水、噴砂泥現象や地盤の急性沈下の記憶がいまだ強く残されている。

(4) 港区港陽町あたりの事例からわかるように、旧水面を埋め立てて盛土をした部分では、とくに被害程度が高かったことが認められた。

(5) しかし、港区港本町あたりのように、明治以降の埋立地であっても比較的被害の軽微な個所もありその原因の解明はまだされていない。


名古屋市港区干拓年代図

社長

 



名古屋市港区ハザードマップ

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